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みかん組のS我部昌史によると、施主がRCサクセションの「トランジスタラジオ」を引いて、屋上への思い入れを語ったという。
梯子をのぼり、屋上に顔を出したら、新宿の高層ビルが見えた。
施主は勤め先や実家でも本を所蔵しており、自邸には主に趣味の本を置いている。
筆者と同じパターンだ。
直感的に住めると思わせたのは、ライフスタイルに共通点があるからだろう。
余談だが、本棚をのぞいていたら、批評系の本のほかに、筆者も持っている『全怪獣怪二○世紀は鉄とコンクリートの建築の時代だった。
日本では、コンクリートの壁に囲まれた都市住宅がもてはやされた。
K研吾は、力強さにこだわる閉鎖的な建築のあり方に疑問を抱き、木、竹、石など、いろいろな素材を新しい手法で用いながら、実験的な作品を発表している。
彼が久しぶりに手がけた住宅「プラスチック・ハウス」も、素材の可能性を引きだしたものだ。
施主は写真家のK島ローランド。
スタジオにも使える一階のリビングは、前後とも全面ガラスになっており、手前の公園と背後の庭を一体的につなぐ開放的な空人上・下』(勤文社)などがあった。
プラスチックの家だけれど、プラモデルではない。
この建築は、FRP、すなわちガラスを完全に切り分けるのではなく、境界を暖昧にしている。
ブチルゴムをつぶして圧着させた新開発のディテール処理も透けて見え、暖かみすら感じさせる。
庭に林立するFRP材は、人工的な竹垣のようだ。
FRP製の階段や大きく飛びだしたテラスは、細く、下が見える危うげな空間だからこそ、忘れかけていた身体の感覚が再び覚醒する。
もっとも、FRPは弱々しいが、本当に弱いわけではない。
ちゃんとした強度をもつ。
プラスチックと棚繊維で強化したプラスチックを随所に使う。
半透明で淡い緑色のFRPは、自然と人工の中間のような不思議な質感をもつ。
ァ庭のか細いFRP製のルーバーは、美しい影を落とす、ミニマ毒ル・アートのようだ。
FRPは戦時中に開発された複合素材である。
金属よりも軽く、錆びない。
自由なかたちをつくれるプラスチックの長所を生かしながら、ガラス繊維を混ぜることで強度を獲得し、飛行機や浴槽に使われてきた。
戦後はイームズのデザインした椅子にも利用されたが、これほど、建築に導入されたのは初めてだろう。
FRPパネルの壁は、うっすらと光を透過させ、内部と外部モノレールのゆりかもめに乗って、東京の湾岸に向かう。
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